ダブルス トップ&バックからの攻撃

ダブルスのトップ&バック(以下T&B)からの攻撃について考えてみます。どのコースを攻めると有効なのか。どのコースを攻めるとリスクがあるのかを考えます。

T&Bから攻めるときに一番ねらいとする攻撃は、スマッシュで攻めて、前衛で叩くというパターンです。このパターンにするには、できるだけ、前衛が叩けるコースに返球させることが必要です。つまり、前衛のいるポジションに対して、ストレートに返球させることができれば、叩ける可能性は高まります。ではそのようなコースはどこになるのでしょうか。

1,右サイドからの攻撃について

攻撃のコースを①~④で示します。前提として、対戦相手の正面にはできるだけ打ちません。

①は右側の選手のフォアサイド
②は右側の選手のバックサイド
③は左側の選手のフォアサイド
④は左側選手のバックサイド

図のように相手選手の正面には打ちません。

右サイドから攻める場合の有効なコースとリスクのあるコース

図のように
①は有効なコース
②も有効なコース
③はリスクのあるコース
④もリスクのあるコース

となります。

有効なコースとはストレートに返球される可能性が高いコースです。

有効なコースを攻めると

右サイドからの攻撃で有効なコースは①と②です。
①と②のコースからは図のようにストレートに返球されることが多くなります。そうすると前衛は右サイドに寄っていることが多いので、ストレートの返球を叩くことができる可能性が高くなります。

反対にリスクのあるコースを攻めると

図のように③、④のコースを攻めると相手左側選手からストレートに返球されることが多くなり、T&Bの前衛、後衛ともに逆サイドへ走らされることになります。

③、④のコースはこのようなリスクがあります。これでは、T&Bで攻撃を続けることはできなくなり、相手に主導権を握られてしまいます。

2,左サイドからの攻撃について

再び攻撃するコースを①~④で示します。

①は左側の選手のバックサイド
②は左側の選手のフォアサイド
③は右側の選手のバックサイド
④は右側の選手のフォアサイド
となります。

当然、相手選手の正面は攻めません。

左サイドから攻める場合の有効なコースとリスクのあるコース

図のように
①は有効なコース
②も有効なコース
③はリスクのあるコース
④もリスクのあるコース

となります。

有効なコースとはストレートに返球される可能性が高いコースです。

有効なコースを攻めると

左サイドからの攻撃で有効なコースも①と②です。
①と②のコースからは図のようにストレートに返球されることが多くなります。そうすると前衛は左サイドに寄っていることが多いので、ストレートの返球を叩くことができる可能性が高くなります。

反対にリスクのあるコースを攻めると

図のように③、④のコースを攻めると相手右側選手からストレートに返球されることが多くなり、T&Bの前衛、後衛ともに逆サイドへ走らされることになります。

③、④のコースはこのようなリスクがあります。これでは、T&Bで攻撃を続けることはできなくなり、相手に主導権を握られてしまいます。

以上のように、ストレートサイドの①と②のコースを攻めるとストレートの返球が多くなり、前衛で叩ける可能性が高まり、有効なコースとなります。

反対にクロスサイドの③と④のコースを攻めると攻めているT&B側から見ると、クロス側への返球が多くなり、前後衛ともに、逆サイドに走らされるコースとなり、リスクが大きいです。

ただし応用として、
前衛が後衛のクロスサイドにいる場合(意識して寄る必要がありますが)には、クロスへのスマッシュが有効打となり場合があります。それは、クロスに打つと後衛のクロス側への返球が多くなりますが、前衛がそこを予測しているので、前衛にとってはストレートの返球となるためです。

このように前衛のいるサイドを後衛が見て、その方向を攻めるというのも応用ではありますが、有効となります。




ダブルスのポジション

ダブルスでは、2人のポジションの取り方が、攻撃においても、守備においても重要になります。これからサーブ周りでのポジション、攻撃の際のポジション、守備の際のポジションをそれぞれ説明していきますので、練習の中で実践できるように意識しましょう。

サーブ周りでのポジション

サーブ周りでは、サーバー側とサーブレシーブ側でポジションの取り方が異なります。

(1)サーバー側でのポジション

水色のユニフォームの2人に注目してください。サーバーのパートナーは攻撃的なサーブレシーブに備えて、腰を少し落とし、足を左右に開いてレシーブの体勢を取っています。

このようなサーブは115㎝より下からシャトルを打つ必要があり、必ずネットへ打ち上げるショットとなるため、守備の体勢から入ることが大切です。

(2)サーブレシーブ側でのポジション

今度は赤いユニフォームの2人に注目してください。サーブレシーブする人、そのパートナーともに半身になり、前後に早く動き出せるように構えています。

2人はラケットを上げ、軽くひざを曲げ、早く動き出せるように工夫しています。

サーブレシーブ側はネットを越えてくるシャトルをできるだけ前で、高い位置でとらえることが重要になります。サーバー側と異なり、より攻撃的なポジションを取っています。

攻撃においてのポジション

攻撃のフォーメーションであるトップ&バック(以下、T&B)では、より攻撃的なポジションの取り方をしています。特に前衛のポジションに注目してほしいと思います。

(1)前衛のポジション1

赤いユニフォームの2人に注目してください。攻撃のフォーメーションT&Bをとっています。特に前衛の位置に注目してください。

前衛は後衛の攻撃に対する返球を前で叩くことが重要な役目になります。そのため、前衛は速い返球に備えて、ショートサービスラインからラケット2本分くらい後ろに構えています。

中学生は前衛がショートサービスラインくらいに位置して、前で叩けないことが良くあります。この写真を参考に前衛のポジションを学びましょう。

(2)前衛のポジション2

T&Bは縦に2人が並び、攻撃に適しています。その一方、左右に振られることが弱点となります。相手はどんどん左右に動かしてきます。ですので、左右に動かされた中で、より攻撃的なフォーメーションを取らなければなりません。

赤いユニフォームの2人に注目してください。T&Bの後衛が右サイドに動かされています。この場合の前衛を見てください。センターにとどまっていません。

後衛が右側に移動するのにともなって、前衛も右サイドに移動しています。これは、後衛がストレートとセンターを中心に攻めることを予測して、前衛はより返球に反応しやすいポジションを取っています。

この場合、後衛がクロスへスマッシュを打つと、場合によっては前衛の反応が遅れてしまいます。

ここでは反対に後衛が左サイドに動かされています。この場合、前衛は先ほどとは反対に、左サイドへポジションをとってより返球に早く反応できるようにしています。

このように、T&Bでは後衛の動きに合わせて、前衛が平行移動することが正解です。

補足ですが、では後衛がクロスへスマッシュを打った場合どうするかですが、前衛はクロスを打ったことが分かった瞬間にクロス側にポジションを移動し、ストレートへの返球に備えます。

ですので、基本的には後衛はストレートとセンターに打つことが基本です。ですが、後衛がクロスを攻める場合には、前衛が素早く反応してクロス側のケアに入ることも大切な約束事です。

守備においてのポジション

ダブルスは2人で攻めてきます。よって、シングルスに比べて、非常に攻撃的で速いテンポでの攻撃となります。そのため、ダブルスの守備ではより効率的に守れるフォーメーションのサイド・バイ・サイド(以下SbyS)をとります。

SbySはコートの横に2人が並び、コートを分担して守ることとなります。このSbySにも弱点があります。それは、2人の間です。2人の間へのショットはどちらがとるか迷ってしまい、2人で手を出す場合や、2人とも手を出さずにお見合いをしてしまうようなケースが見られます。このようなことを防ぐための工夫が求められます。

二等辺三角形で守る

赤いユニフォームの2人に注目してください。T&Bの水色のユニフォームの選手は右サイドから攻撃しています。この場合、SbySの選手はT&Bの攻撃してくる選手に対し、二等辺三角形のポジションをとります。

この場合、赤いユニフォームの2人は、全体的に右サイドに寄ったポジションをとっています。これは、赤の右側の選手が一番厳しいコースである、ストレートスマッシュのコースを重点的に守るためです。

また、赤の左側の選手はセンターラインにより、一歩程度前に出てポジションをとります。そして、攻撃してくる選手に対して、正面を向くように構えます。

これが二等辺三角形で守るということになります。

今度は先ほどとは反対に水色のT&Bの選手は左サイドから攻撃を仕掛けています。この場合赤いユニフォームの2人は全体的に左によりポジションをとっています。

そして、赤い左側の選手はサイドラインへのスマッシュを警戒してコースをふさぐようにポジションをとり、右側の選手はセンターライン側により、センターへのスマッシュとクロスへのスマッシュに対処できるようにポジションをとります。

これで二等辺三角形で守るということになります。

補足ですが、二等辺三角形でポジションをとる場合、攻撃してくるサイドの選手は全力でストレートスマッシュを返球するように注意します。一方クロス側の選手はできるだけ、センター、クロスのスマッシュを返球できるように注意します。

以上が場面別でのダブルスのポジションの取り方となります。意識して、より効率的な攻撃、守備ができるように練習しましょう。




シングルスの基本

1,前提条件

打てる
コートの四隅からいろいろなストロークを打てる。
動ける
コートを素早く、しかも持続的に動くことができる。全面をカバーできる。

その上で、心技体の総合力の戦いとなり、また、知=戦術が必要になってきます。
心技体知を具体的に見ると下記のような項目が必要になってきます。

メンタル面
強い精神力、すべて自分の責任、粘り強い性格、プラス思考、気持ちの切り替え
フィジカル面
豊富なスタミナ、スピード的持久力、はやいフットワーク、なめらかな身のこなし
技術面
クリアーの力(押し合いに勝てる)、粘り強さ、全面を守る力、クロスを打てる、多彩なフットワーク
インテレクチュアル面
戦術の組み立て、試合の流れを読む、コンディショニング、スカウティング

2,代表的な攻め方(戦術の基本)

関西の強豪、永井ジュニア、香川スクールの指導者のレポートによると簡単な戦術についての意識は10歳後半から12歳の間までには芽生え、ただ打ち返すのではなく、相手選手を苦しめるように試合をするようになるそうです。

代表的な戦術

  1. クリアーとドロップやカット、ヘアピンとロブなどを使って、相手選手をコートの前後に揺さぶる。
  2. スマッシュやカット、ドロップ、ドライブなどを使って、相手選手をコートの左右に揺さぶる。
  3. そしてオープンスペースを作り出して、そこを攻める。

バドミントン教本の戦術

バドミントン教本における戦術とは、「対戦相手にプレッシャーを与えるショットを打ち、エラーさせるように仕向ける方法と、対戦相手からプレッシャーを与えられた場面に対応する方法」としています。重要なことはプレッシャーを与えるというところです。これを攻撃原則といいます。1打1打を決め球にする必要はありませんが、常に80点のストロークで相手にダメージを与える、これが大切です。

また、エラーをさせるように仕向けるとあります。バドミントンの試合ではエラー(ミス)での得失点が非常に多いことを表しています。反対に考えるとエラーが少なければ勝てる可能性が高いとも言えます。

プレッシャーを与えるストロークとは

  • 相手の足を止めて遅らせることができるストローク。(止める)
  • ディセプションやストップ&ターンをさせて、相手のバランスを崩すストローク。(崩す)
  • 次のストロークを引き出す(予測できる)ストローク。(読む)
  • 相手の返球ストロークやコースを限定させるストローク。(読む)

3,プレッシャーを与えるストロークを打つためには

それでは、具体的にプレッシャーを与えるストロークを打つ方法を考えていきます。

(1)十分な体勢から打つ

  • はやく(速く、早く)落下点に移動し、余裕のある体勢から威力のあるストロークを打つ。
  • 十分な体勢から、同じフォームで多彩なストロークやコースを打ち分ける。(読ませない)
  • いろいろなストロークを使って、次のストロークを読ませない。予測させない。ワンパターンにならない。

(2)オープンスペースを攻める

  • 四隅を攻め、オープンスペースを作り、そこを攻める。
  • コーナーに追い込み、逆のコーナーを攻める。
  • 対角線(一番コートで長い距離)を攻め、オープンスペースを作り、そこを攻める。
  • ラウンド(バック奥)とフォア前を攻め、最後にフォア奥に追い込むイメージ。
  • スマッシュでサイドラインを攻め、返球を逆サイドに攻める。

(3)足を止め、次のストロークを読む

  • リピートショット(二度打ち、三度打ち)で攻める。
  • 十分な体勢からオープンスペースを攻めるように見せ、同じコースを続けてせめて、相手の足を止める。
  • スピードに変化をつける。移動のスピード、ストロークのスピード、コースに緩急の変化をつける。
  • シャトルを打つリズムやテンポに変化をつけ、相手の足を止める。
  • 上下、左右、早打ち、ため打ち、ジャンプなどのディセプションで相手の足を止める。
  • ワンパターンにならないように注意する。

(4)ストップ&ターンをさせる

  • リピートショットで相手の行きたい方向に行かせない。早くホームへ戻ろうとしているときに、同じコースを攻める、など。
  • クロスからクロスへの攻撃や難しい角度への移動(同じ方向や狭い角度の移動など)をさせ、相手の体勢、重心を不安定にさせる。

(5)粘る

  • 対戦相手がミスをするまで打ち続ける。スタミナ勝負をする。
  • はじめ守り、後から攻める。
  • ミスをしない。決められるのは仕方がないが、自分からミスをしない。

(6)自分の得意なストロークで攻め、相手の得意なストロークを封じる

  • 自分の得意なストロークで攻め、相手の得意なストロークを封じる。
  • 勝負所で自分の得意なストロークや攻め方を使って勝負に出る。エースを最初から使っていると最後に決まらなくなることがあるので注意する。
  • 相手の得意なストロークや戦法を見極め、それを拾い攻め手を封じる。相手を自滅させる。
  • 相手を読む。

下記の表を作成してみて、分析して攻め方を考える。

強み 弱み
自分
対戦相手

(7)相手の弱点を攻める。自分の弱点を攻めさせない。

  • 相手の弱点を見極め、重点的に攻める。
  • ラリーを組み立てる。
  • 1球で決めようとせず、ボディーブローを繰り出すように、ダメージを与えて追い込み、崩すこと。
  • 崩すための伏線を作る。

(8)自分の得意な攻撃、パターンを複数持つ。

  • 得点しやすい自分の得意ショットを活かしたパターンを練習して身につける。
  • 通用しなくなったことを想定して、必ず攻めパターンは複数持つこと。

以上プレッシャーを与えるストロークを打つための代表的な方法を8つ紹介しました。一つでも多く身につけられるように努力しましょう。

3,コート内の位置取りについて(ポジショニング)

バドミントンではホームポジションに戻ることを教えられます。基本的にはホームポジションに戻ることが大切です。しかし、どんな場合でもホームポジションに位置取ることが正解かというとそうではありません。ポジションの位置はラリー内で常に変化します。時々に応じたポジションを取ることが大切で、そのことをポジショニングと言います。

(1)ホームポジション

基本のポジション。ショートサービスラインから1.5mほど後方。
また、自分の長所と短所、相手選手の攻め方のタイプなどを考え、変化させることも大切です。

  1. ネット前が苦手→少し前目にポジション
  2. コート奥が苦手→少し後ろ目にポジション
  3. スマッシュが強い相手→少し後ろ目にポジション
  4. クリアー中心に攻める相手→少し後ろ目にポジション
  5. ドロップが多い相手→少し前目にポジション

(2)ポジショニング

ポジショニングは常に変化する。どこに戻るか?ポジションの考え方を示します。

  1. 自分の打ったストロークやコース
  2. 相手選手のシャトルの打ち方、体勢
  3. 1,2を総合的に判断してポジションを決める。
  4. 相手選手が打ってきそうなところがエリアがカバーできるポジション
  5. 守りやすいポジション
  6. 次に動きやすいポジション
  7. 4~6を備えたポジションをとる。

以下にポジションニングの例を示します。

(3)よいポジションをとるためには

ただ単に打ち返すのではなく、攻撃原則で相手を追い込んでいくようにストロークすることが大切です。次のストロークやコースを制限できれば、相手の返球を引き出し、読むことができます。また、その返球に備えたポジショニングをとることができます。

バドミントンは対人競技のため、相手の返球がわからない状況での練習を行うことが重要です。

ポジションでの構え方は、①ラケットを上げる、②シャトルのコースに面を出すなど当り前のことを当り前に行います。また、相手の返球を考え、体の向きを相手に向けることが大切です。

ラケットを上げて準備する場合、ラケットの高さを工夫する必要があります。自分が打った球が大きく高い場合には、ラケットは低めでも良いですが、低くやネット下へ打った場合には高めに準備する必要があります。

4,シングルスのフットワーク

コート全面をスムーズに動くためには、色々なフットワークを自然に使い分けることができるようになることが大切です。

  • 大きく動くときは、ランニングステップやクロスステップ。
  • 速く短い距離を動くときは、ツーステップ。
  • ネット前へラッシュするときなどは、ランニングステップ。
  • ラウンドへ早く入るときは、左足からスタートできるスキップ。

このように、いろいろなステップが使えるように、日ごろから、ステップ練習やフットワーク練習でいろいろなステップを身につけておきましょう。

5,シングルスのサーブとその対策

(1)サーブの基本

サーブは唯一自分で自由に打てるストロークであり、工夫次第では十分な武器になります。エースにはなりませんが、相手のリズムを狂わせるストロークとして利用しましょう。

  • センターへ大きく高くが基本。シャトルを垂直落下させることが理想的。
  • 規則の変更に伴い、サーブをより攻撃的に打てるようになった。フリックサーブやショートサーブの利用も考える。
  • ロング一辺倒ではなく、色々なサーブを打つことによってリズムを狂わせる。

(2)なぜセンターか?

センターにサーブを打つと対応面積が狭くなり、守りやすい。再度だと対応する面積が広くなり、守りにくい。

(3)ロングか、ショートか?

ラケット進化により、スマッシュ力の向上が著しい現在、ロングサービスでは、1球目から速いスマッシュの攻撃にさらされることが多くなりました。そのため、1球目をショートから始める展開が多くみられるようになりました。スマッシュの速い対戦相手だったり、スマッシュを打たれたくない展開では、ショートサービスから始めて、相手に上げさせるように工夫することも重要な戦術になっています。

(4)サーブはタイミングが大切。

いつも同じタイミングでサーブを出すのではなく、相手の撃ちにくいタイミングで打つことが大切です。時には時間をかけて焦らして打つ。時には構えてすぐに打つなど変化をつけるようにしましょう。

(5)必ず入れる

サーブは必ず入れること。ラリーもせずに1点献上するサーブミスは絶対に防ぎましょう。厳しすぎるコースを狙わない。サーブで決めようとしないことが大切です。

(6)サーブレシーブの対応

サーブは必ず腰から下で打つストロークになります。よって、サーブする側は不利な条件からのスタートとなることも頭に入れましょう。サーブレシーブは攻撃的に返球することを狙いましょう。そのためには、集中して、サーブのタイミングを合わせること。ネットより高い打点でシャトルをとらえること。積極的に攻める姿勢で返球すること。

5,ラリーの組み立て

(1)ラリーの組み立ての狙い

  • ネット前の浮き球
  • 浅いクリアー

これらのショットを引き出す。そのために、積極的に攻撃する。(攻撃原則)

(2)攻めるコース

  • コートの四隅
  • サイドライン
  • センター(ボディアタック)

これらを効果的に散らし、前後、対角線、左右への揺さぶりからオープンスペースを作って、そこを攻める。立体的なラリーを組みたてる。また、攻めは低く、逃げは大きく高く、つなぎはセンターへを意識する。

攻撃原則を意識して、ただ単に打ち返すのではなく、ラリーを効果的に組み立てる意識を持つこと。相手のストロークや返球コースを限定し、次のストロークを引き出すこと。(読む)

(3)ストロークの組み立て

  • ストロークの種類、コース、角度、球足の長さ、タイミングの緩急などを組み立てること。
  • スマッシュの緩急、ドロップ、カットの緩急を効果的に使う。
  • 決め球ではない、つなぎのスマッシュも効果的に使用する。
  • 突撃=カウンターなどで飛びついたりして、返球速度を速め、一気に攻め切る。
  • インプレーを続けること。自分からアウトを打たない。ネットにかけない。相手コートへ必ず返球することが基本。練習では厳しく狙い、試合では慎重に狙う。
  • ネット前はラケットワークが相手から見える。そのため、同じフォームからいろいろなストロークを打ち分けることがとても重要です。ラケット面を作って、相手に見せて打ち分ける。ディセプションになります。
  • スマッシュレシーブは打ったポジションから一番遠いコースへ返球することを狙う。ストレートをクロスに、クロスをストレートにレシーブする。
  • ネットへの返球は少し浮いても、ネットの近くに返球することを意識する。シャトルの最高点が自分のコート内になるようにコントロールする。
  • 意味あるラリーをする。つなぎ球、逃げ球、崩し球、決め球を使い分ける。

  1. つなぎ球
    追い込まれた状況で打つ球。相手にコースを読まれないように注意する。また次の返球に対応できるコース(主にセンター)につなぐ。
  2. 逃げ球
    大きく高くが基本。ハイクリアーや高いロブで時間をかせぎラリーの不利な状況をリセットする。逃げのドロップは厳禁。
  3. 崩し球
    決め球を打つための、相手にダメージを与えるショット。ダメージを与えるとは、追い込んだり、コースが制限されるショットを打たせたりすること。
  4. 決め球
    得点を決めるためのショット。崩し球の痕に積極的に決め球を打つ。ただし、攻め急がないことも展開では必要。

6,対戦相手別戦術

(1)背の高い相手

サーブ、クリアー、ロブの高さに注意。中途半端な高さだとカウンターを受ける心配がある。前後の揺さぶりが有効。ネット前が安定しない傾向があるため、積極的に前後に動かし、攻める。左右は守備範囲が広いのでなかなか有効打を引き出せない。動かしてから攻めるなどの工夫が必要。手足が長い半面、ボディ周辺は弱い傾向があるため、センター攻撃を入れることも重要。

(2)背の低い選手

背が低いため、コーナーへはしっかり足を運ぶ必要がある。クリアー、ロブでは足を運ばせて、スタミナを奪うこと。前後左右への揺さぶりも動く範囲が大きくなるため有効。左右への揺さぶりは手足が短いため、スマッシュレシーブがしにくい。スマッシュで手を伸び切らせ、ストレートに返球させるように工夫する。動きの速い選手も多いので、リピートショットも有効。

(3)動きのはやい選手

対角線や前後左右への揺さぶりへの対応がうまい。反面リピートショットなど、同じ方向への攻撃などで行きたい方向に行かせないことが重要。また、クロスの返球などに弱い傾向にある。戻りかけのコースなど、きっちりしたコースよりも、移動しかけの時に攻める。ディセプションなどで足を止める工夫が必要。

(4)動きの遅い選手

前後、左右、対角線などに積極的に動かし、反対のオープンスペースを攻める。楽な体勢から打たせないように気をつける。

(5)スマッシュの強い選手

強いスマッシュを警戒し、ショートサーブを多めに使う。攻撃的にストロークを打ち、楽な姿勢で打たせない。しっかり構える。少し後ろ目にポジションをとる。自分から攻撃し、相手に簡単に攻めさせない。

(6)左利きの選手

いつものようにラリーをすると、右利き同士とはフォア、バックが反対になります。逃げ球をストレートに逃げた場合、相手のフォアとなり、不利な状況になります。左利きの選手はラウンドが苦手な選手が多いので、積極的にラウンドを攻めましょう。左利きからのクロススマッシュはシャトルが逃げていく球となるため、返球しにくくなるので、注意が必要です。

7,半面での練習の注意点

(1)注意点

半面での練習はコートに大人数が入ることができ、効率的。しかし、実際にはオールコートの約6割の広さであることを忘れてはいけません。ただ単に前後に配給するだけではだめです。半面コートにも四隅やサイドラインがあります。しっかりと各ストロークをコントロールする意識が必要です。

(2)半面での基礎打ち

初心者にとっては大切なパターン練習です。上級者にとってはアップになってしまいがちです。基本をしっかり確認する場として活用しましょう。

ポイント

  • ラケットを上げてしっかり構える。
  • 構え直しを早くする。
  • 打って次の球を意識する。
  • ネット前はラケットを上げて入る。
  • コースにラケットを準備して入る。
  • 奥からのストロークはできるだけ同じフォームから打ち分ける。
  • ラケットを構える高さを工夫する。大きく上げた時は下目でも良いが、沈めたときは上目に構えます。
  • ポジションへの戻りのテンポを工夫する。相手のリズムに合わせて。

(3)半面シングルスの練習

コートが前後に長く、サイドは狭いという特徴があります。スマッシュは簡単には決まりません。しっかり長い前後に動かす練習をしたい。

ポイント

  • サーブを大きく深く打って、しっかり相手をコーナーに移動させる。
  • クリアーやドロップ(カット)、ロブとヘアピンで前後に相手を動かす。
  • 浅いクリアーやネット前の浮き球が来たら、積極的にスマッシュやプッシュで決めに行く。
  • スマッシュはしっかりサイドとセンターを打ち合分ける。

(4)初心者からシングルスの強化へ

  1. ラケットワーク、トスノックで各ストロークの自動化を図る。
  2. ラケットノックで動きの中でのストロークの精度を高める。
  3. 半面の基礎打ちで対人技術を高める。
  4. 半面のオールショート、オールロングで半面のカバー力を高める。
  5. 半面対角で疑似的な全面をイメージする。
  6. 全面の1点返しなどで全面の広さを覚える。
  7. 2対1などで全面のコートカバー力を高める。
  8. 全面パターン練習などで全面のコートカバー力を高める。
  9. ノックやドリル練習で戦術意識を高める。
  10. ゲーム練習で戦術意識を高める。



ワールドツアーファイナルズ

ワールドツアーの年間王者決定戦。ワールドツアーファイナルズが行われます。
日程:2023年12月13日(水)~12月17日(日)
開催地:中国・杭州市

決勝戦はテレビ朝日で生放送されます。ぜひ観戦しましょう!
12/17(日)深夜2:00~ テレビ朝日地上波
YouTubeでも毎日ライブ放送中




勝利の栄光を君に №4

『中国バドミントン強さの秘密』から考えるバドミントンの戦術

『中国バドミントン強さの秘密』において、「バドミントンの戦術の思想を指導するということは、技術のありようと打法をプレーヤーに身につけさせることだ」として次のように述べています。

快(速く)、狠(果敢に)、確(正確に)、活(活発な)技術風格を貫くとともに、自主性、スピード、攻めを主眼とした積極的、主導的な打法を身につけさせることとしています。

具体的に快(速く)、狠(果敢に)、確(正確に)、活(活発な)技術風格とはどのようなものか。自主性、スピード、攻めを主眼とした積極的、主導的な打法とはどのようなものか説明します。

4つの技術風格とは

下記のような技術的な基礎を身につけなければならないとしています。

快(かい) 判断・反応を速く、スタート・戻りの動作を速く、移動を速く、ストローク動作の遂行を早くするこ
と。突撃進攻を速くし、守りから早く攻めに転じる。
狠(こん) 進攻が猛烈、フライトコースが変化し、プレースメントが抜け目なく、有利な戦機を見逃さず、連続
した進攻ができ、1球で勝負を決めることができる。
確(かく) スピードがあり、変化の多いゲーム展開の中で戦機を掴み、技術も正確に取得していて、自在に活用
できる。プレースメントが正確。
活(かつ) グリップ、スタンス、フットワーク、戦術の変化等が敏活でなければならない。

3つの積極的、主導的な打法とは

自主性 相手の影響を受けず、自分の得意とする技術や打法を積極的に展開する。相手の矛先をかわし、得意技術を発揮させないようにする。戦術を常に変化させ、試合の主導権を握る。
スピード 時間・スピードを争って、チャンスを掴み次第すぐに戦局を勝ち取る。ただし、戦術を変えるために時にはスピードを落とす。
攻め 攻撃は得点を得るための最も優れた手段であり、いかなる時も攻撃を戦術の第一主眼とする。守りにおいてもフライトやコースを変化させ、守りから積極的に攻めに転じられるようにする。

これらの技術風格と積極的、主導的な打法を身につけることが戦術思想を指導するということとなります。

また、戦術を活かすために、目的を達するために下記の4つの戦術的要求があります。

4つの戦術的要求とは

  1. 相手の位置取りを外させる。適切なポジションを取れないようにする。
    相手は通常、コート全体、各コーナーに気を配れるようにポジショニングしている。このような適切な位置取りをされている時には、シャトルに間に合わなくさせることは難しい。このポジションが取れないようにすれば、コートに空きが生まれ、それが攻撃目標になる。
  2. 相手に浅いクリアを打たせる。
    ドリブンサーブ、スマッシュ、速いドロップ、ヘアピンなどは充分な返球が難しい。クリアーも浅くなることが多い。相手に中途半端なクリアーを打たせることができれば、それをとらえて、高い打点から強打し、致命的な打撃を与えることができる。
  3. バランスを崩させ、重心を失わせる。
    リピートショットを打つ、ディセプションを行うなどして、相手のフットワークを乱し、身体のバランスを崩させ、重心のコントロールを失わせ、打球に間に合わなくさせる。そして、相手を受け身の戦局に追い込む。
  4. 相手の体力を消耗させる。
    ホームポジションから最も遠い相手コートの4隅を最大限利用して突き、シャトルの落下地点をコントロールする。一点を争う間も、できるだけたくさん打って、相手を動かす、走らせる、無駄に打たせる等し、相手の消耗を待って攻撃を仕掛ける。自分自身は体力の保持に努める。

チャンスはわずかで、来てもすぐに消失してしまいます。正しく局面を読み、守備的な状況にあっても主体性をもって、適切な選択を果敢に行うように努める戦術意識が重要です。

常に保持すべき戦術意識とは

禹開(うかい) コートの前後、左右、全体にアトランダムに打球し、相手を大きく動かしてホームポジションから引き離すこと。
重複球 2度またはそれ以上連続して相手の特定のゾーンのポイントを攻めること。
下圧 相手がリアコートの高い打点から打ち下ろしてきたスマッシュ、ドロップなどをネットより高い打点でプッシュ等で反撃し、相手を守勢に追い込むこと。
追身球 相手のフットワークが定まらない内に、ボディーへのアタックを仕掛けること。
吊上網 ドロップをショット後、これを追ってネット際にポジショニングして、相手のネット際への返球を捕らえ、プッシュ、ヘアピン、クロスネット等で連続して攻撃すること。
殺上網 スマッシュをショット後、これを追って素早くネット際に寄せる。相手の甘い返球を、プッシュ、ヘアピン、クロスネット等で連続して攻撃すること。
四方球 相手コートの四隅に打ち込み、相手をホームポジションから追い出し、チャンスを見て攻め込むこと。
仮動作 ディセプションのこと。相手の判断のエラーを誘う。
突撃 突然、移動速度を速め、ジャンプを加えて、シャトルをインターセプトしてスマッシュし、相手に防
御する間を与えない。

1980年代から圧倒的な強さを見せた中国バドミントンの戦術思想を紹介しました。当たり前のことかもしれませんが、中学生にとっては貴重な資料になると思い紹介しています。




令和5年度 第77回全日本総合バドミントン選手権大会

令和5年12月24日(日)~12月30日(土)にかけて、武蔵野の森 総合スポーツプラザで全日本総合バドミントン選手権が行われます。スケジュールは下記の通りです。

令和5年12月24日(日) 16:00 代表者会議 
令和5年12月25日(月)  9:30 試合開始 各種目 予選 
令和5年12月26日(火)  9:30 試合開始 各種目 1回戦
令和5年12月27日(水) 10:00 試合開始 各種目 2回戦
令和5年12月28日(木) 10:00 試合開始 各種目 3回戦
令和5年12月29日(金) 10:00 試合開始 各種目 準決勝
令和5年12月30日(土) 10:00 試合開始 各種目 決勝 

テレビ放送はフジテレビ系列で行うようです。地上波でも放送があるので、ぜひ見てください。




勝利の栄光を君に №3

ミスをしないためには

以前日本バドミントン協会が発行した、『バドミントン教本基本編』の中で、バドミントンの定義は「いろいろなストロークを正確に、かつ攻撃的に継続して打つことによって、対戦相手にエラーさせるように仕向ける競技」と書かれています。この考え方の特徴は、バドミントンは対戦相手にエラーをさせるように仕向ける競技となっているところです。それだけ、得失点にエラーが影響する競技ということです。(ここでいうエラーとはミスと同じように使われています。)

確かに試合をしますと、決めきったような場面はそれほど多くないことに気が付きます。ということは、バドミントンはエラー(ミス)をしなければ、勝つことができるとも考えられます。

部位 内容 行うこと

神経
ドンピシャでシャトルを打てるように反復繰り返しシャトルを打ち、練習する。
認知・判断した脳からの信号を神経を通して筋に速く正確に伝える能力を向上させる。
色々なシチュエーションを反復練習!
質量転換は1万回!!

神経
より合理的な動作で、動作を複雑にしないように予測し準備をしておく。 準備する。
ラケットを上げる。
構える。
面を作る。

神経
より合理的な動作で、運動を発揮できるようなシャトルに近づき、シャトルを打つ。 身体をシャトルに近づける。
打ちやすい体勢で打つ。

神経
相手の打ってきたシャトルに素早く、合理的に反応できるように、集中してフォーカスする。 集中する。神経の情報伝達をスムーズにする。

このように見ると、脳・神経の働きがいかに重要かがわかります。繰り返し脳から筋への信号を正しく、早く伝わる、経路をたくさん作ることが必要です。準備をして複雑な動作にしない、繰り返し練習し、合理的に筋を働かせる、集中する、がポイントとなってきます。