中1のためのバドミントン(3)基礎体力の向上

(3)基礎体力について

1、バドミントンの基礎体力とは何か?バドミントンの競技の特性から

下の図はバドミントンのゲームの運動強度をWP(運動している場面)とRP(休んでいる場面)で表しています。そうすると、運動している場面で運動強度が上昇して、その次に休んでいる場面が発生し運動強度が下降することを繰り返しています。そして、運動している場面と休んでいる場面はおよそ1:1の割合で存在しているように見えます。

このようにバドミントンの運動は間欠運動になっていることがわかります。

また、ゲームを見ていると、①高速のラリーが展開される、②スピードが速い、③高出力のパワーがバドミントンのゲームの特徴になっています。

さらに、2014年以降のスーパーシリーズやオリンピックの試合分析61試合から

項目 以前 現在
ラリーの平均移動距離 12.2m 15m程度
平均打数 6打 10打程度
ラリーの平均持続時間 6秒程度 10秒程度
運動と休息の比率 1:1 1:3

このことから、近年のバドミントンゲームではよりスピードとスタミナが求められるようになっていることが考えられます。

以上のことからバドミントンに必要な基礎体力は

テンポが早く、長いラリーを続けられる能力
休息時に運動に必要なエネルギーを回復する能力

専門的に言い換えると

酸素摂取量を大きくすること
乳酸耐性を高めること

2、酸素摂取量を高める

2750m走(轟町中学校外周5周)1周550m

男子 女子
シングルス ダブルス シングルス ダブルス
エリート選手レベル 6分56秒〜
8分19秒
7分46秒〜
9分8秒
9分41秒〜
11分3秒
9分41秒〜
11分3秒
国内リーグ選手レベル 9分8秒〜
10分32秒
9分57秒〜
11分36秒
11分53秒〜
13分15秒
12分25秒〜
13分48秒
地域選手レベル 10分31秒〜
12分43秒
11分36秒〜
13分15秒
13分16秒〜
14分37秒
13分48秒〜
15分10秒

20mシャトルラン

男子

学年 平均 優れている やや優れている 普通 やや劣っている
中1 68.91 105以上 104〜82 81〜56 55〜32
中2 82.63 117以上 116〜95 94〜70 69〜47
中3 90.43 126以上 125〜103 102〜78 77〜54

女子

学年 平均 優れている やや優れている 普通 やや劣っている
中1 48.37 77以上 76〜58 57〜38 37〜19
中2 53.74 84以上 83〜64 63〜43 42〜23
中3 53.82 82以上 81〜64 63〜44 43〜24

3、乳酸耐性を高める

インターバルトレーニング

種類 強度 時間 トレーニング効果
ロングインターバル
トレーニング
80〜95%Vo2max 20〜50分間 エアロビック効果
コンビネーション (12+3)分、(8+2)分、(4+2)分、(3:30+1:30)分
ショートインターバル
トレーニング
90〜100%Vo2max 15〜40分間 エアロビック効果
コンビネーション (2:15+0:45)分、(1:30+0:30)分、(1:00+0:30)分、(0:45+0:15)分
ショートショート
インターバル トレーニング
90〜100%Vo2max 10〜35分間 エアロビック効果
アネロビック効果
コンビネーション [(15+15)秒、(10+10)秒、(5+10)秒]×nステージ

15秒のノック、15秒の休息 ×nセット 10分〜35分間実施
15秒のフットワーク、15秒の休息 ×nセット 10分〜35分間実施




中1のためのバドミントン(2)バドミントンの競技力

(2)バドミントンの競技力について

バドミントンの競技力を下記の図のように表してみました。
まず土台に、栄養、コンディショニング、ライフスタイルがあり、その上にもう1段土台としての、基礎体力、技術の自動化があります。一番下の土台は、バドミントンの競技力向上に関わる、生活スタイルとなります。その上の基礎体力、技術の自動化はその上の対人競技としての戦術的バドミントンに発展するための基礎となります。

基礎体力 = 酸素摂取量(心肺機能)の向上と乳酸耐性能力の向上
技術の自動化 = 意識せずに自然にシャトルを打てるようになること。
ここから、どこを狙うかなど戦術的なバドミントンができるようになっていく。

外的諸条件として(緑の吹き出し)
練習環境、コーチ、家族のサポート、用具をあげています。
練習環境 = 体育館がどれくらい使えるか?教えてくれる人がいるか?高め合うライバルがいるか?など
コーチ = 指導者がどのような指導ができるか?コーチの指導力など
家族のサポート = バドミントンにどれだけ集中できるか?送迎ができるか?熱心か?など
用具 = 最新の技術を備えている道具か?ラケットの本数、シャトルがどれだけ使えるか、など

基礎的な土台の上に、対人競技としての戦術的バドミントンが始まります。対人競技として、相手と競うためには、4つの要素を高めていく必要があります。4つの要素とは技術、体力、心理、戦術になります。

技術 = ヒッティング技術、トラベリング技術、アイ・トレーニング、など
体力 = 専門体力として、筋力、筋持久力、スピード、敏捷性、柔軟性などを鍛える必要があります。
心理 = メンタルトレーニング、メンタルマネジメント、など
戦術 = 攻撃原則、経済原則、現実原則、戦術的な考え方、中国のバドミントン戦術、積極的戦法、
     消極的戦法、など

4つの要素は独立して存在しているわけではなく、それぞれ、相互に関連性を持っています。

技術と体力の関係
有効な技術は体力の消耗を抑える。
十分な体力は技術の効果を大きくする。

技術と心理の関係
冷静さは技術に安定感を与える。
安定した技術は自信を与える。

技術と戦術の関係
多様な技術は戦術の選択肢を増し、確実な技術は確かな戦術を可能にする。
巧みな戦術の展開は技術の欠陥を補う。

心理と戦術の関係
安定した心は適切な戦術を選択する。
貧しい戦術は不安を大きくさせる。

心理と体力の関係
体力なしに自信に裏付けられた意思は姿を見せることはない。
意思や気迫なしに体力を発揮することはできない。

体力と戦術の関係
有効な戦術は体力の消耗を抑えるだけでなく、有効な集中的利用も可能にする。
体力がなければ、戦術の選択肢は限定される。

対人競技としての戦術的バドミントンはどこまでも際限がなく続き、生涯取り組めるものとなります。




中1のためのバドミントン(1)バドミントンとはどのような競技なのか

(1)バドミントンとはどのような競技なのか?

バドミントンとはどのような競技なのか?ホームページや書籍に書かれている定義などをもとに特徴を考えたいと思います。

(参考)
日本バドミントン協会(競技ルール)によるバドミントンの説明
日本オリンピック委員会によるバドミントンの説明
日本バドミントン協会「バドミントン教本」によるバドミントンの説明
岐阜県「バドミントン指導の手引き」によるバドミントンの説明
「コーチングforジュニアバドミントン」(竹俣明著)によるバドミントンの説明

1、日本バドミントン協会(競技ルール)より

バドミントンはネットをはさみ1対1または2対2でシャトルを打ち合う競技です。種目には、男女別に行われるシングルスとダブルスがあります。さらに、男女がペアを組んで競技するミックスダブルスがあります。

2、日本オリンピック委員会より

バドミントンは1人対1人、または2人対2人で、ラケットを使ってネット越しにシャトルを打ち合い、得点を競うゲーム。オリンピックでは1992年バルセロナ大会から正式種目となり、男女シングルス、男女ダブルス、混合ダブルスが行われています。バドミントンが他のネットスポーツと決定的に違うのは、丸いボールではなく、シャトルという全く形の違うものを使うことです。シャトルとは、半球状のコルクに水鳥の羽根を接着剤などで固定したもの。ラケットで打った瞬間の初速は、あらゆる球技の中で最も速いですが、空気抵抗を大きく受けるため、初速と相手コートに届くときの終速は著しく違います。その特性により、バドミントンはストロークの種類が多く、ラリーがスピードや変化に富んでいることが特徴です。

3、「バドミントン教本」より

いろいろなストロークを正確に、かつ攻撃的に継続して打つことによって、対戦相手にエラーをさせるように仕向ける競技。
対戦相手がエラーをするまでラリーを続ける。
対戦相手に自分の弱点を攻められないようにする。
対戦相手の弱点を集中的に攻める。
対戦相手にプレッシャーを与えるようなショットを継続して打つ。
対戦相手の得意なショットを拾って自滅させる。
対戦相手の足を瞬間止め、反応速度を遅らせる。

4、「バドミントン指導の手引き」より

バドミントン競技はコートをネットによって二分し、ラケットを用いてシャトルコックを打ち合うことによって、得点を競い合う競技である。また、競技者は2名ないし4名がコートに入り、1対1(シングルス)もしくは2対2(ダブルス)で対戦する。

5、「コーチングforジュニアバドミントン」より

バドミントンの特徴
対人競技
他のラケット競技に比べて打つポイントが多い
動きが激しく速い
ラケット競技の中でもフェイントが多い
ストロークの種類が多い
ネット前の攻防がゲームを左右する
ミスによる得点や失点が多い
フットワークに方向転換が多い
サービス自体に威力がない
高低や左右の角度がポイント

いろいろなバドミントンについての説明をまとめてみます。そうすると下記のような特徴が導き出されます。

対人競技 陸上のように記録に挑戦するような競技ではなく、対戦相手と技術などを競い合い、得点を競う競技。
ディセプションの技術や、攻め方など戦術の影響も大きく受ける。
道具を扱う競技 ラケットという道具を使う競技。より技術的な競技と言える。
コートを使う競技 コート内360度移動することが求められる。フットワークの習得が必要であり、ストップ&ターンが多い。また、コート内にシャトルを打つ必要があるでのコントロールも重要となる。
シャトルを打ち合う競技 シャトルという特殊な球を打ち合う競技。フライトに特徴がある。スピード変化が激しい。
得点を競い合う競技 フィギアスケートのように出来栄えを競う競技ではなく、対戦相手を打ち負かしたり、エラーをさせて得点を競う競技。
エラーによる得失点が多い競技 エラーによっての得点、失点が多い競技。エラーをしない方法を身につけることが重要。
ストロークの種類が多い競技 シャトルの飛び方が特殊であり、対応して打つストロークの種類が多い競技。てのストロークを同じように打ち分けられることが重要。
フットワークが重要な競技 コート内を後ろ向きに動くことが多い。広くないコートをいかに速く動けるかが重要。動き出し、ストップ&ターンが重要。色々な動き方を習得する。

バドミントンの特徴を理解し、どのようにしたら競技力向上につながるのか考えてみましょう。




人事異動

人事異動2025

千葉市の教職員の異動の発表がありました。
轟町中バドミントン部顧問の福田先生も来年度から若松中へ異動となりました。

福田先生は私が高洲一中の外部指導をしている時の教え子の一人であり、私が2年半前にバドミントン指導に10年ぶりに復帰しようと考えている時に真っ先に轟中で復帰するように声をかけてくれた先生でした。その熱意に押されて、私は轟町中学校で10年ぶりにバドミントン指導を再開することに決めました。

はじめのうちこそ、連携の面で少しギクシャクした部分はあったものの、徐々にそれも改善し、福田先生のバドミントンの知識と生徒を指導する力を活かし、私が練習環境を整えるというサポート関係が確立していきました。

選手の中は才能のある選手がたくさんいて、磨けば光るという状況でした。その中で、古川・吉野、岡庭・山西が成長し、団体で県大会に出場することができました。

翌年度は、瀬田・神谷を中心に関東を狙えると福田先生と話し合い、照準を関東に合わせ鍛えていきました。選手たちは私たちの期待に応え、千葉県3位、関東ベスト16という素晴らしい成績を残してくれました。

福田先生はこのような成果を轟町中学校にもたらし、子どもたちを育ててくれました。間違いなく、轟町中学校バドミントン部にとって、大きな役割を果たしてくれた指導者の一人です。今回の異動は残念ではありますが、新任校でも実力を発揮して成功されることを確信しています。

また、残された轟町中学校バドミントン部をますます発展させるよう、努力していかなければならないと考えています。

福田先生ありがとうございました。

轟町バドミントンクラブ
前林より




ダブルス強化計画2025年1月~

ダブルスの強化項目

項目の後ろの数字は練習時期

基本

・ラケットを上げる(0)
・コンパクトに強く(0)
 大振りしない
・準備(0)
 次の返球に対しての準備
・テンポ(0)
 打って打って打ってのテンポ

攻撃

・決定力の強化(1)
 ネット前、中間ボールを強く決める
・ライン攻撃の強化(1)
 スマッシュコースに入る
・前衛力の強化(2)
 ラインに入る。反応、読む、打ち込む、つなぐ
・迷わす力の強化(3)
 コース、サイドとセンターの打ち分け
・相手を動かす(3)
 ノーロブ、速いテンポで動かす
・ドライブレシーブの強化(1)
 強い返球、押し込む
・コースの変化(2)
 コースを変える

レシーブ

・レシーブ力の強化(1)
 大きくリセットする
・SbySの強化(2)
 二等辺三角形、ポジション
・体周りの強化(1)
 ラケットワーク、反応、返球率を高める
・リカバリー力の強化(2)
 打ち込む、逃げる、ローバック

動き

・フォーメーションのスピードアップ(1)
 T&BとSbySの切り替え
・ローテーションの強化(2)
 攻め続ける、カバー力

サーブ周り

・サーブ力の強化(1)
 絶対入れる、逸らす
・サーブレシーブ力の強化(1)
 ロングサーブを打ち込む、前後衛の入れ替え、沈める、
・3球目、4球目の強化(2)
 狙う、攻撃する、逃げる




日本バドミントン指導者連盟 講演会が行われました

日本バドミントン指導者連盟2024年度講演会に参加しました。

下記の日程で2024年度の講演会が行われ、オンラインで参加しました。

日時  2024年11月9日(土)9:30~16:30
会場  筑波大学およびオンライン
テーマ 一貫指導システムを再考する。
講師  吹田真士氏、中西洋介氏、升佑二郎氏

当日は仕事があり、所々の視聴でしたが、今後の指導に影響する充実した内容でした。以下に記録としてまとめます。

競争競技と闘争競技

サッカーは進んでいて、様々なスポーツの指導の参考になる部分がある。

サッカー = 闘争競技
陸上 = 競争競技

闘争競技は相手があり、プレー技術の発揮が保証されていない。お互いに良いプレーを発揮させないように競っている。

では、バドミントンは「間接的な闘争競技」

「集中しろ」というアドバイス → 「相手が何をしてくるのか?に集中しろ」が正解

バドミントンの健康問題

バドミントンは室内スポーツで日光にあたらない。→ ビタミンD不足に陥りがち。
1日の試合数が多すぎる。練習量が多い。→ 慢性的なエネルギー不足

バドミントン選手は骨の発育不全から疲労骨折の経験が非常に多い。
RED-S 月経不順

栄養の摂取 → 食事がとても重要。炭水化物、糖質の補給。

技術(テクニック)とスキル

技術(テクニック) = ~の仕方、打ち方、動き方、など
スキル = うまさ、どんな時にも発揮できる

スキルは教えられるか?
スキルは様々な要因の影響を受ける。

生体 体の制約
環境 環境の制約
課題 タスクの制約

スキルは教えられるか? → 難しい、教えにくい

様々な制約を考慮し、練習を組み立てる。 → 賢い体をつくる

世界水準トレーニングのトレンド

3つのポイント

  • 融合局面にフォーカス
  • プレローディング
  • 自己組織化

融合局面にフォーカス

融合局面とは、つなぎ目のこと。
異なる運動の組み合わせ → 新しい運動に

例えば、打つ→動く 含めた動作

これには、フィードのタイミング、姿勢、視線が大切

バドミントンの練習に本当に必要なのは?
止まってドライブ
止まってドライブのフォア、バック交互
ドライブ打って前に

プレローディング

バランスボールに後ろから押されて、脚の前側に負荷をかける

自己組織化

エキスパートほど、運動はバラバラ
×機械のような運動

スキル = 複数のソリューションがある。
獲得させたい運動が引き出される練習が大切

特にジュニア指導

テニスのプレイ&ステイ
コートを小さくして、飛ばないボールにして、道具を軽くして、ラリーが続くようにしている。
ジュニア選手があたかもトップ選手のようなプレーをしている。
スキルにあふれている。

繰り返しのない、繰り返し練習が必要
早期多様化
色々なスポーツ経験

世界トップ選手のスキル(シングルス)

3大要素

  1. シャトルを沈める能力
  2. ラリーを継続する能力
  3. コート内で相手の位置を把握し配球する能力

1,シャトルを沈める能力

日本人は背が低い(日本人以外の平均183㎝、日本人170㎝)

コートの前に落とす力
クリアーを減らして、ロブを打つ回数を増やす

クリアーはサイドアウトする確率がロブより大きい
クリアーは到達時間がロブより遅い

→ ロブで攻める。ロブをコントロールして、強打をクロスに打たせない。

そのためには
レベルスイングのマスター = 点ではなく、線でとらえる、シャトルを浮かせない
ラケット面を立てて = ラケット面が手より上にある

少しでも上から入る努力、簡単に上げない努力

2,ラリーを継続する能力(フットワーク・持久力)

ストレートロブの精度を上げる

→ 相手のストレートへの返球を増やす → ホームへの戻りが少なくて済む

センターへの返球

→ 返球コースを減らすことができる

3,コート内で相手の位置を把握し配球する能力

相手の待ち位置を予測する能力

短い球 → 短い球で返球される可能性が高い → 返球が早い
長い球 → 長い球で返球される可能性が高い → 返球が遅い

→ 早く返球される短い球を打った場合、前エリア内で待つ必要がある

ネット前のスキルを向上させる
ポジションどりが重要

練習の質と量

上手くなる = 脳の自動処理化が高い
練習の質が高い = 自動処理化のスピードを速くする練習

インターリーブ理論
1回2~3時間の練習で練習回数を多くする。
練習 → 睡眠で整理

→ 1種目を長く練習するではなく、複数種目を分けて練習する。
繰り返し = 意欲低下、反射で反応 = 飽きる = 脳が成長しない

→ 上級者との練習、刺激のある新規の練習が必要 → 練習の質を高める

練習量も重要
生理的限界を高める = リミットを外す

量と質の兼ね合いが重要
→ 年間計画を立ててコントロールする

世界のバドミントントレーニングの傾向

持久的トレーニングは少なめ
筋トレが多い




勝利の栄光を君に バドミントンのルールを学ぶ

バドミントンのルールを学ぼう!

1年生大会が近づいてきました。大会に出場するためには最低限のルールを知らなくてはなりません。
大会に出場すれば審判になることもあります。主審、線審ができるように最低限のルールを学んで、準備をしておきましょう。

ルールを学べるサイト

スコアシートの書き方を学べるサイト

1年生大会に向けてのチェック項目

マスターできていますでしょうか?

試合の進め方(シングルスの主審)

集まってもらう
「集まってください。」

試合開始のあいさつをする
「これから○○中の○○さんと□□中の□□さんの試合を始めます」

選手の確認 ゼッケンを見せてもらう
「ゼッケンを見せてください。」

トスをする
「トスしてください。」

サーブとエンドを決める
「サーブとエンドはどちらにしますか?」
「サーブとレシーブはどちらにしますか?」
「エンドはどちらにしますか?」

試打をする
「試打してください」

試合を開始する
「15ポイント3ゲーム、ラブオールプレイ」

サーバーが得点
「ワン・ラブ」

レシーバーが得点
「サービスオーバー ワン・オール」

どちらかが8点先取の場面でインターバルの請求があった場合
「インターバル」1分間 残り20秒でコートに入ってもらう

ゲームを再開する(例えば8対5の場合)
「8、5」プレイ

15ポイントをどちらかが取ったら
「ゲーム」
「チェンジエンド」2分間 残り20秒でコートに入ってもらう

2ゲーム目を始める
「よろしいですか?」
「セカンドゲーム、ラブオールプレイ」

2ゲーム目が終わってゲームカウント1対1になった場合
「ゲーム」
「チェンジエンド」

3ゲーム目を始める
「よろしいですか?」
「ファイナルゲーム、ラブオールプレイ」

8点をどちらかが先取した場合(8対5の場合)
「エイト、ファイブ」
「チェンジエンド」1分間 残り20秒でコートに入ってもらう

14点をどちらかが取ったら(14対10の場合)
「14,10 サーバーマッチポイント」

15点を取ったら(15対10の場合)
「15,10 ゲームオーバー」

試合終了のあいさつをする
「ただ今の試合はゲームカウント2対1で○○さんの勝ちです」
「礼」

勝者サインをもらう




バドミントン練習メニューのもと(練習メニューの作り方)

手順

  1. トレーニングの原理・原則を意識する
  2. 年間計画の期分けを考慮する
  3. 単複の重点をどちらに置くか考慮する
  4. 課題を設定する
  5. 量・強度を設定する
  6. 環境条件を考慮する

トレーニングの原理

トレーニングの原則

年間計画(52週)を作成する

期分け

一般準備期

身体能力の全面的な発達有酸素能力、基礎的筋力、柔軟性などの全面的な向上

新しい技術、動きづくり、戦術や態度の学習など

量の増大

専門準備期

技術的、戦術的要素の向上

直接的な競技力の発生と向上
 体力的要素と技術的要素を最適に結び付けていく
 無酸素性能力、専門的筋力(爆発的筋力、エキセントリック筋力)、敏捷性など

強度の増大

試合期

試合に近いコンディション下での技術、戦術の改善

対戦相手を想定した技術、戦術のトレーニング

単複の重点を考慮する

課題を設定する

例えば、10月は

行事等 新人大会前の時期 大会前なので、戦術的な練習、実戦的な練習をしないといけない。戦術を意識させる練習を増やそうか?
期分け 専門準備期 インターバルトレーニングなど、バドミントン的な動きの専門的なトレーニングをしたい。
単複 ダブルスの練習期 体育館練習では、ダブルス強化の練習をしたい。
項目 課題
メンタル 緊張している。
点差がつくと諦めてしまう。
フィジカル コート内移動スピードが遅い。
脚力が弱い。
スキル シングルス カウンターが打てない。
レシーブが弱い。
クリアー力が弱い。
ネット前からクロスが使えない。
ダブルス 攻め続けられない。
簡単に上げてしまう。
スマッシュが浮いてしまい、カウンターを食らう。
相手を動かすことができない。

練習量と強度の設定

環境・条件を考慮する

項目 条件
男女 男女あり
部員数 2年男子9名、1年男子7名、
2年女子5名、1年女子6名 合計27名
体育館使用 平日週2~3日、武道場2~3日
コート6面
朝練 なし

フィジカルトレーニング例

項目
すばやさ チャイナステップ 二重とび チャイナステップ 二重とび チャイナステップ
スタミナ等 2400m サーキット インターバルトレーニング サーキット 2400m
筋力 体幹 上半身 体幹 下半身 体幹
その他 ステップ練習 ステップ練習

体育館練習例

メニュー ねらい
椅子タッチ スピードアップ、特に動き出しのスピードアップ
20秒で13回目標に
パターン練習
①スピードアップ
②レシーブ強化
①足を止めない、待たずに打ちに行く
②構える、懐を作る
ボックス 積極的にスマッシュ、前へ詰める
簡単に上げない
半面2対1 後衛は攻撃を続ける、前衛のフォロー、
前衛はコースに入る、読む
全面2対2
①スマッシュ交互
②クリアードロップ
①フォーメーションを速く作る
②オープンスペースにシャトルを送り込む、相手を動かす



バドミントン練習メニューのもと(中学生のスキルトレーニング)

技術の自動化を目指す

スキャモンの発育曲線

神経型は6歳までに約80%成長し、12歳までに約100%成長してしまいます。小学生のゴールデンエイジ期にはスキルの獲得は著しいですが、中学生になると、動作はぎこちなくなり、スキルの獲得は鈍くなってくると言われています。

子どもの発達・発育パターン(動作の習得)

動作の習得を中心に発達、発育パターンを見ていくと、やはり小学生の時期にピークを迎え、中学生の時期は発達が下降傾向にある時期と言えます。

ですので、この図からも中学生のスキル、技術の習得は時間がかかり、工夫が必要だと思われます。

神経系トレーニングと筋系・呼吸・循環器系トレーニングとの比較

1,神経系トレーニング(スキルトレーニング)は、ステップ状に向上していく。直線的な向上ではない。

2,ステップ状の向上=プラトーがある。(一気に向上と向上しない時期)

3,トレーニングを中止しても、一度獲得したトレーニングの効果は持続する特徴がある。
例:自転車の運転

スキルトレーニングの効果のあらわれかたの特徴

第1段階 認知的・意識的な段階
基本的な知識や動作の習得を目指します。確認しながら、意識しながら動作を調整し、繰り返しますが、粗大な誤りがしばしばみられます。

第2段階 感覚と運動の連合段階
基本的な動作の習得が進みます。感覚と運動が連動していきますが、安定する段階には達していません。

第3段階 自動化の段階
動作に注意を払わずに、安定したパフォーマンスを発揮できる段階。また多様なプレーが可能になります。

スキルトレーニングの効果的な方法

1,はじめにたくさん反復する
トレーニングの初期に効果が大きく、その時期に反復量も多くすればより大きな効果が得られると考えられています。

2,常に集中して取り組み、長時間だらだら行わない。
スキルトレーニングでは新鮮な気持ちと身体で課題に取り組むことが重要です。

3,効果の定着には4時間を空ける、もしくは睡眠。
効果を長期間保持させるには、習得後に4 時間以上の時間経過が必要といわれています。
さらに睡眠をとるとさらにパフォーマンスは向上するといわれています。

4,10000回、10000時間
高度なスキルを獲得するためには長期にわたるトレーニングが必要となります。
一流選手になるためには1 日に3 時間、毎日練習するとして10 年間、10,000 時間が必要と考えられています。




2024年日本バドミントン学会 第1回研究会に参加しました

日本テニス協会 普及推進本部副本部長 今井茂樹氏
「テニピンでテニスのミライを創る」の講義を聞いた感想

「テニピン」は本当によく考えられたスポーツ。

講義を聞いて一番初めに印象に残ったことは、テニピンというスポーツは本当によく考えられたスポーツであることです。小学生にラケットを扱うことが難しい。ラケットを集めることも難しい。上手な子だけが輝いてしまう。テニスの授業を一般化することは難しかったようです。

それを、ラケットの代わりに、手で打つような形に用具を改良したこと、道具を段ボールで作れるようにしたこと、ダブルスにしたこと、交互に打たなくてはいけないこと、4回ラリーをしたのちでないと得点できないルールとしたこと、などの工夫で解消しています。

テニピンを普及するためにあらゆる努力をされたこと。

国立大学付属小への配属という幸運はあったものの、テニピンへの取り組みを新聞へ投稿、教育雑誌へ投稿、松岡修造氏との対談の申し込み、テニス協会へのPRなど、ありとあらゆる手段を使ってPR活動など行い普及をされてきました。その行動力が素晴らしいものを感じました。

当初松岡修造氏はラケットを使わないことなどに対し、テニスではないのではないかなど、懐疑的な発言をされていたようですが、今井氏はテニピンがラケット操作の向上をもたらすことを証明する研究成果を持ち、再度説明するなどし、現在は松岡修造氏も認め、応援してくれているとのことです。

学校現場に普及させるためには楽しく体育に親しむ、運動を好きになる、そのような視点をどれだけもてるか

テニスの強化のため、バドミントンの強化のため、普及のためにテニピンを教育現場に普及させなければ、、、等という発想ではいつまでたっても普及は行えないということ。学校現場の体育、楽しく運動することにテニピンがどれだけ役に立てるかという発想で普及を進めているということです。
1,個が輝く
2,状況を判断する力
3,戦略を練る力
4,問題を解決する力
5,成功も失敗も自分ごと

バドミントンに置き換えてみるとどうすればよいか?

テニスとバドミントンの違いはバウンドして打ち返してよいか、ノーバウンドで打ち返すかの違いにあると思います。

どうしたら優しさを確保してノーバウンドで打ち合うことが実現できるか?

1,コートを狭くする
2,風船など、ボールを工夫する
3,コート内の人数を多くする
などの工夫が必要ではないかと思います。

また、教育現場でバドミントンはどういった教育効果あるか?
テニピンを参考にすると
1,個が輝く・・・・・・・・当てはまる
2,状況を判断する力・・・・当てはまる
3,戦略を練る力・・・・・・当てはまる
4,問題を解決する力・・・・当てはまる
5,成功も失敗も自分ごと・・当てはまる
6,道具を上手く扱う(巧みさ)

バドミントンも工夫次第では教育現場で楽しく、体育として役立つスポーツの一つとして採用される可能性はあるのではないかと思います。ただし、バドミントンのそのままではやはり、専門的すぎたり、費用的な面でも難しいのではないかと感じます。

参考にしたページ
日本テニス協会HP