第2回バドミントンコーチへの道 競技力の要素

バドミントンの競技力

選手を育てるためには、何を伸ばさなければならないのか、その対象を知ることが大切です。そこで今回は「バドミントンの競技力」について説明します。

私はバドミントンの競技力はメンタル(心理)、スキル(技術)、フィジカル(体力)、インテレクチュアル(知力)の4つの要素でできていると思っています。それぞれの要素について説明します。

メンタル(心理)

バドミントンのゲームではメンタルの要素が大きく作用します。特に中学生となれば尚更です。ゲームにおいての集中力、ビビり、焦り、緊張への対処などを習得します。また、能力は保持するだけでなく、実際のゲームで実力を発揮することが重要です。ここでは、スポーツ心理学の知識やメンタルトレーニングの方法を理解し、実践することが大切になります。

実施する内容
目標設定
 適切な目標の立て方、目標を確実に進めていく工夫など
リラクセーションの技法(呼吸法、筋弛緩法)
 試合前に適度にリラックスするにはどのような方法があるか。
サイキングアップの技法(音楽をきく、声を出す、など)
 試合前に気合いを入れるにはどうすれば良いか。
メンタルリハーサルの技法(ルーティン、など)
 試合を練習と同ように行うためにはどうすれば良いか。
面談方法、など
 メンタルが不調な場合どのような対応ができるか。

スキル(技術)

バドミントンはラケットで特殊なフライトのシャトルを打ち合う技術的な競技です。ラケットの扱いに慣れることや長さに慣れること、シャトルの様々なフライトに慣れること、特殊な動作をするフットワークを習得することなど、日常にない動作を反復繰り返し、習得することが求められます。意識しないでシャトルをしっかりヒットできるようになる(技術の自動化の獲得)ことが初心者の当面の目標になります。

実施する内容
・スイング技術
 素振りなどラケットを効率よく振る技術。グリップ、リストスタンド、回内回外、ゼロポジションなど
 シャトル投げや素振りなどで、意識せずに効率の良いスイングができるように反復する。
・ヒッティング技術
 シャトルをドンピシャで捉える技術。シャトルのフライトを学習する。
 効率良いスイングでシャトルを捉える。
 トスノックやノックなど多球練習で反復する。
 移動の中で意識せずにシャトルを打つことができるまで反復する。
・トラベル技術
 スタート技術、ブレーキ技術、移動方法をフットワークやステップ練習などで習得する。
 移動の中で自然と効率の良い移動方法が意識せず選択できるようになるまで反復する。

フィジカル(体力)

バドミントンは技術的な競技ではありますが、相当体力も必要になります。一説にはボクシングの次にハードなスポーツであるとも言われています。バドミントンは1ラリー平均10秒の高強度の運動と約30秒の休息を、長い場合は1時間繰り返す間欠運動です。ハードな間欠運動に耐えられる基礎体力を作ることがフィジカル面の目的となります。

実施する内容
トレーニングの原理原則の理解
 具体的なトレーニングの際に注意するポイントを理解する。
超回復理論の理解
 休息もトレーニングの一環であることを理解する。
基礎体力の養成
 酸素摂取量の向上 2400m走、シャトルラン、等
 乳酸耐性の向上 ショート・ショートインタバルトレーニング、等
マトヴェーエフ理論の理解
 目標大会ごとに計画を立てる。
発育発達の理解
 特に中学生の発育発達に注意する。持久力の向上、筋力の向上をポイントにする。

インテレクチュアル(知力・戦術)

バドミントンに限らず、スポーツで頭を使うことはとても重要です。バドミントンにおいて、頭を使うとはどういうことか考えてみてください。考えるとさまざまな場面で頭を使っていることに気が付きます。

1つ目は戦術です。バドミントンは対人競技です。相手がいますので、どうしたら相手が嫌なプレーをできるかが大切です。また、相手も自分に対して、嫌なプレーをしてきます。そのやり取りの中でどうしたら自分が有利に試合を運べるか頭を使う必要があります。戦術は、基本的な戦術のパターン、フレームワークを知ることがまず大切になります。その上で、自分の得意技、苦手な部分、相手の得意技、相手の弱点を理解した上で試合を組み立てていきます。

2つ目は試合に向けての準備の部分で頭を使う必要があります。相手の強み、弱みの情報を得ることも頭を使うことになります。A選手は〇〇な得意技を使っているな、〇〇が苦手だな。背が高いな、左利きだな。などさまざまな情報があります。それを分析することが大切です。

実施する内容
対戦相手のスカウティング(情報収集)
 相手の戦力に関する情報収集を行う。
情報の分析
 得た情報を自分の情報と照らし合わせて分析を行う。
基本戦術の理解
 一般的な戦術について知識を得て、理解する。
作戦立案
 情報分析の結果、どのような戦うかイメージする。

以上、ここでは、「バドミントン競技力の要素」についての概要を説明しました。どんな要素を練習に組み込んでいくことが大切かを理解していただければ幸いです。

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第1回バドミントンコーチへの道 バドミントンとは

初めまして

この企画はバドミントンを初めて指導する方へ向けた応援企画です。バドミントンの経験がある方もない方も指導することは簡単ではありません。競技経験がない方は一体どうやって指導すれば良いか悩むことと思います。ここではバドミントンの指導について、ゼロから丁寧に紹介していきたいと思っています。どうぞよろしくお願いします。

バドミントンとは

はじめに皆さんにお伝えしたいことは、バドミントンとはどのようなスポーツ、競技なのかということです。いろいろなホームページや書籍などにはバドミントンの定義が掲載されています。そこから、バドミントンには本質的にどのような課題があるのかを理解していただきたいと思います。

1、日本バドミントン協会
「バドミントンはネットをはさみ、1対1または2対2でシャトルを打ち合う競技です。」

最もシンプルなバドミントンについての説明です。
①ネット競技であること。
②シャトルという特殊な球を打ち合う競技であること。
③シングルスとダブルスがあること。

2、日本オリンピック委員会
「バドミントンは1人対1人、または2人対2人で、ラケットを使ってネット越しにシャトルを打ち合い得点を競うゲーム。オリンピックでは1992年バルセロナ大会から正式競技となり、男女シングルス・男女ダブルス・混合ダブルスが行われています。バドミントンが他のネットスポーツと決定的に違うのは、丸いボールではなく、シャトルという全く形の違うものを使うことです。シャトルとは、半球状のコルクに水鳥などの羽根を接着剤などで固定したもの。ラケットで打った瞬間の初速は、あらゆる球技の中で最も速いですが、空気抵抗を大きく受けるため、初速と相手コートに届くときの終速は著しく違います。そのシャトルの特性により、バドミントンはストロークの種類が多くラリーがスピードや変化に富んでいることが特徴です。」

日本バドミントン協会の説明をより詳細に特徴を説明しています。
④ラケットという道具を扱う競技であること。
⑤シャトルを打ち合って得点を競い合うこと。
⑥混合ダブルスがあること。
⑦初速があらゆる球技の中で最も速いこと。
⑧ストロークの種類が多いこと。
⑨ラリーがスピードの変化に富んでいること。

3、バドミントン教本(日本バドミントン協会発行)
「いろいろなストロークを正確に、かつ攻撃的に継続して打つことによって、対戦相手にエラーをさせるように仕向ける競技」
そのための戦術は
・対戦相手がエラーをするまでラリーを続ける。
・対戦相手に自分の弱点を攻められないようにする。
・対戦相手の弱点を集中的に攻める。
・対戦相手にプレッシャーを与えるようなショットを継続して打つ。
・対戦相手の得意なショットを拾って自滅させる。
・対戦相手の足を瞬間止め、反応速度を遅らせる。
・対戦相手の反応速度を遅らせるために、いろいろなショットを打つ。

日本バドミントン協会が発行した「バドミントン教本」に書かれているバドミントン競技の定義です。より専門的な説明になっています。ここからわかることは、
⑩エラーをさせるように仕向ける競技であること。
11戦術的な競技であること。

4、コーチングforジュニア バドミントン(竹俣明著)
バドミントン競技の特徴
対人競技
・他のラケット競技に比べて打つポイントが多い
・動きが激しく速い
・ラケット競技の中でもフェイントが多い
ストロークの種類が多い
・ネット前の攻防がゲームを左右する
・ミスによる得点や失点が多い
・フットワークに方向転換が多い
・サービス自体に威力がない
・高低や左右の角度がポイント

この書籍にはバドミントン競技の特徴がまとめられています。重要なポイントは、
12対人競技であること。
13フェイントが多い競技であること。
14ミスによる得失点が多いこと。
15方向転換が多いこと。

以上をまとめるとバドミントン競技の実体が見えてきます。

私の考えるバドミントンとは「バドミントンは技術的で戦術的な対人競技」と思っています。そして、バドミントンの練習課題は全てを網羅できているわけではありませんが、下記のようになると思います。

特徴 課題
1、ネット競技であること。 ネットを超えるように常にコントロールしなければならない。角度、高さも重要。
2、シャトルという特殊な球を打ち合う競技であること。 シャトルの特殊な飛び方を反復練習で習得しなければならない。
3、シングルスとダブルスがあること。 シングルスとダブルスでは、異なる練習、意識、戦術が求められる。
4、ラケットという道具を扱う競技であること。 バドミントンは技術的な競技である。スキルトレーニングが重要。道具を巧みに操れるようになるために、反復練習が必要。
5、得点を競い合う競技であること。 技の出来栄えを競う競技ではなく、得点を競い合う競技。攻撃を原則として、点を取りに行くことが重要。
6、混合ダブルスがあること。 異なる練習、意識、戦術が求められる。
7、初速があらゆる球技の中で最も速いこと。 スマッシュが大きな武器になる。また速いスマッシュがあれば、その他のストロークも生きてくる。
8、ストロークの種類が多いこと。 全てのストロークを同じフォームからいろいろなポイントへ打ち分けられるように練習が必要。
9、ラリーがスピードの変化に富んでいること。 様々なストロークを習得して、緩急を使い分けられるようにすること。相手のタイミングを狂わせることが大切。
10、エラーをさせるように仕向ける競技であること。 エラーを減らすように、常に良い姿勢で打てるようにすること。
11、戦術的な競技であること。 ストロークの使い分けなど、どのように戦うか常に考えた練習を行う。また、自分の長所、短所、相手の長所、短所を理解して、攻めることが大切。
12、対人競技であること。 相手を常に攻撃し、騙すように心がける。相手の心理も理解すること。
13、フェイントが多い競技であること。 相手の反応を遅らせるように常に工夫すること。
14、ミスによる得失点が多いこと。 ミスをしないように、常に良い姿勢で打てるようにすること。
15、方向転換が多いこと。 動き方に後向きの動作が多いなど、特殊な動きを習得すること。

今回は「バドミントンとは」ということで、バドミントンの特徴と課題を考えてみました。少しでもバドミントンに対するイメージを高め、練習を考える際の参考になればと思います。

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